【覚えない記憶術】
昨日のランチに何を食べたのかはなかなか覚えていないものですが、子供の頃に父に連れて行ってもらった実家近くのお寿司屋さんのエビの踊りの味は今なおしっかりと覚えています。
お店の水槽から大将がエビを捕まえて、すぐに握ってくれました。
口の中でプルプルと、まさに踊っているのです。
頭を焼いてくれて、絶妙な塩加減で、パリパリと全部食べられるのも主役級の美味しさでした。
・「世の中にこんなに美味しい食べ物があったのか!」と感激をした。
・「あのお寿司屋さんのエビの踊りは最高!」と何度も人に話した。
・そのお寿司屋さんの前を通るたびにヨダレを垂らして想像した。
・滅多にない父との外食だった。
実はこれ、記憶するための要素が多重に絡み合っているので、忘れようとすることが難しいほど記憶しているのです。
いろんな要素が絡み合って、40年ほど経った今でも口の中でその味が再現されます。
一生忘れられない「味」の記憶になっています。
このようなしっかりと脳に定着した「記憶」のような、特殊な体験をしなくてもできる方法が一冊にまとめられているのが1月6日に発売された【覚えない記憶術】(樺沢紫苑著)です。
読み進めていくうちに、「なるほどなるほど。だからコレについてはよく覚えているんだな。」「ああ、だからあのテストはダメだったんだな。」と思うことがたくさんあります。
本書は、単なる「暗記術」の本の範疇には留まらず、人生を有意義に、そして幸せに過ごすためのエッセンスがギュギュギュギュっと詰まっています。
不幸な記憶を消去して、幸福の記憶を上書きする
~「植えつけ記憶術」
の中に、とても感激した一文がありますので、ご紹介させていただきます。
覚えない記憶術 | |
樺沢紫苑
サンマーク出版 2016-01-07 |
164ページ
自分の思い出が「楽しい」思い出でいっぱいになれば、それは楽しく幸せな人生であり、「苦しい」「辛い」思い出でいっぱいになれば、それは不幸な人生になってしまいます。
父が亡くなってもうすぐ50日。
明日は大きな区切りの五十日祭です。
私の記憶の中では、人生で最も尊敬する人になり、父と過ごした日々は全てが良い日になっています。
まだまだ傷心中ではありますが、父の思い出にいっぱい浸っております。
あまりに良い思い出だらけなので、キャベツを見ても泣けてきます。
(母の作るロールキャベツが大好きでした。)
唐揚げを見ても泣けてきます。
(一旦退院したときに一口食べて「おいしかった~」と何度も言ってました。)
ビスコを見ても泣けてきます。
(入院中に「明日買ってきて」と食べ物を欲してくれて嬉しかったです。)
温泉などにある薄いタオルを見ても泣けてきます。
(「お風呂では薄いタオルが洗いやすくていいんだよ」とよく言ってました。)
英語の勉強をすると泣けてきます。
(「英語はできて当たり前。もう一つ何か技術を身につけろ」とよく言ってました。)
いい思い出をたくさん作り、辛い思い出は忘れる記憶術。
いい人生を送るためにも必読の一冊に出会いました。