とある起業女子のお話
「院長先生にビッグビジネスのご案内でお電話差し上げました！」とちょっと高めのテンションで話しかけられたのは、もう５年ほど前のお話。
《ビッグビジネス》？
へえ〜すごいね。
のっけからこんな切り口だとロクなことがないのが世の常。
40歳も越えれば分かりますってば。
いやいや、小学生でもひっかかりません(笑)
「アポ取りたいの？
だったら予約してくれたら30分は話を聞いてあげますよ。」
私のいつもの営業電話返しの手法です。
「じゃあ予約させてください。二人分！」
ほう。なかなか気骨のあるお姉さんじゃないか。
という経緯でご予約いただきました。
当日、約束の時間になっても来ませんでした。
１０分ほど経ってから、「今◯◯にいるんですけど、近くでしょうか？」と電話がありました。
ナビ使ってるんでしょ？
使ってるけど使いこなせてないのかな？
地図見ろよ！
確かに分かりにくい場所ではあるが、少なくとも《ビッグビジネス》のお話をしにくるほどのお方が約束の時間を過ぎてから道案内の電話をするかな？
この時点で私の勝ちは確定しました(^^)v
やっとご到着。
いつものお客様のように問診票を書いてもらい、姿勢のチェックをし、施術台に寝てもらいました。
「あれ、めちゃくちゃキツイ下着をつけてますね。補正だか矯正下着でしょ？
だめだよぉ。こんなの装着してて細くなるとでも思ってるの？
血行不良になるし、第一動きにくいよ。
ギュっと締めてる間は若干細く見えるかもしれないけど、脱いだ時にダラーーンってなる下っ腹が鏡に映ってたらゲンナリするでしょ？
こんな体に悪そうな補正だか矯正下着なんか装着しちゃダメだよ！」
優しい顔して毒を吐く私の第一声がコレでした。
二人目のお姉さんも同じ！
なんじゃこりゃ？
これで美容と健康にいいとでも思ってるの？
アホちゃう？？？
めちゃくちゃ優しい顔をしながら猛毒を吐いてしまいました。
さあ、約束通り《ビッグビジネス》の話を聞いてやろうじゃないですか。
ん？
何だって？
私たちは女性だけで起業して、
・女性の美容に貢献します
・女性の健康に貢献します
・女性の自立に貢献します
ほほ〜。
時々、オカマっぽく見える時もありますが、私は立派な男性ですけど？
ん？
何だって？
補正下着が上下のセットで30万円。
当院にお越しのお客様は姿勢改善でお見えの方も多いでしょう？
そのお客様にオススメしたら、６万円が私に入るんだって？
ん？
何だって？
お客様がその補正下着を気に入ったら、それを宣伝して販売すると
私が何もしなくても５〜１０万円が入ってくるって？
そのお客様を販売員に育てたら、
私が代理店だかゴールドなんちゃらに昇格して
マージンが増えるんだと？
ん？
それってマルチ商法だよね？
連鎖販売取引っていうんだよね。
まあいいけどさ、
冒頭にもお伝えした通り、
あんたが装着しているキツイキツイおパンツやウエストをギュンギュンと締め付ける下着を愛用している限り、痩せるのは無理ですから！！！
それにさ、さっきから「女性の起業」「女性の」「女性だけ」ってキーワードを連発してるけど、あんたの話している相手は男性ですよ。
「女性の起業」だかなんだかって、俺には全然関係ない話だよね？
当院のお客様の９割は女性ですけど、俺との信頼関係でご来院いただいてるのね。
俺がその補正下着を認めていないことはさっきしゃべったよね？
人の話を聞いてましたか？
今まで技術と会話で信頼関係を築いているところに、
いきなり補正下着のマルチ商法を俺が勧めたらその信頼関係はどうなると思う？
マルチ商法のキモは
「人間関係を金にする」ことだよね？
女性起業家だか何だか知らんけど、
それは俺にとって何の関係もない話。
女性起業家って肩書きが何かを生み出しているとでも？
女性だろうが男性だろうが、
事業主としてやっていくのであれば
良い商品やサービスを提供して
社会貢献してくださいよね。
女性起業家がみんな胡散臭いマルチ商法だって思われますよ。
はい。
お二人で一万円いただきます。
ありがとうございました。
個人事業主として地域で活躍したければ
レクチャーしてあげますので
いつでもおいでね〜( ^_^)/~~~
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マイク・カキハラ
ビジネス社 2011-02-24 |